「私って、やっぱり看護師なんだな」と思った出来事

私は今、在宅療養や在宅医療に関する相談業務や人材育成事業を行っていて、臨床からは離れた仕事をしています。
先日、朝のラッシュ時に、電車を降りホームの階段を下りていたときのことです。

私の数段下を歩いていた20代の男性が、階段を不自然な感じで下りていたので気になっていました。
**「大丈夫?」**そう思った次の瞬間、男性が階段から転落しました。
「危ない!」
とっさに声が出て、無意識に私はその人のところへダッシュ。
考えるより先に身体が動いていました。
男性はうつ伏せになり、足が階段の上に残った状態。まずはゆっくり仰向けにして、周囲に集まっている人たちに
「救急車を呼んでください!」
と周囲に声をかけました。そして、頸部で脈拍を確認すると男性が少し動いたので、
「名前、言えますか?」
と声をかけると、男性は聞き取れませんでしたが名前を答えてくれました。
頭の右側から出血していたので、右手で頭を支えて、なるべく動かさないようにしながら声をかけました。
「何か持病はありますか?」 「ないです」
「何があったの?」  「めまいがして、ふらふらして…」
「どこか痛い?」  「いえ痛くないです」
腕に触れると、冷汗があって末端も冷たい。
「朝ごはん、食べた?」 「食べてません」
**「なるほど… でも会話ができているから少し安心」**

気がつくと、周囲にいた人はほとんどいなくなっていました。
シーツ様の布を持った駅員さんが2人来てくれました。
その布受け取って、出血していると思われるあたりを圧迫。
駅員さんが男性の様子を見て、「あー、救急車ですね」と。
**「いやいや、だから救急車って言ってましたけど!」**
と、思わず小声で言ってしまいました。
駅員さんが救急要請をしているあいだ。頭を上げようとする男性に
「動かないでね、頭打っているから」と声をかけます。

でも、こういうときの看護師の声って、普段よりちょっと低くて強くなるんですよね(笑)。
電話の後、駅員さんが「あと、代わります」と言っていただいたので、
「ここを圧迫してください」と伝えて交代しました。
救急車に乗るのは見届けませんでしたが、たぶん大丈夫でしょうと思えたので。

あとになってふと、**「私、やっぱり看護師なんだな」**と思いました。
臨床の現場を離れて、5年以上になりますが、考える前に身体が勝手に動いていました。
長年の看護師生活の中で身についたことは、仕事を離れても、そう簡単には消えないものなんですね。

振り返ってみると、総合病院にいた頃は、急変に当たり、目の前で起きた交通事故の救護に関わったり、昨年は駅前で倒れた高齢者を救護したり……。と、なぜか、こういう場面に遭遇することが比較的多いような気がします。
今は臨床を離れ、人のお話を聴くことが仕事をしています。
仕事の形は変わりましたが、看護師として過ごした長い年月も、そこで身につけたことも、私の中にちゃんと残っていると感じています。
どんな仕事をしていても「私って、やっぱり看護師なんだな」と、あらためて気づかせてくれた出来事でした。

 

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土田 美夏
土田 美夏

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